今回は完璧主義思考から抜け出せないで苦しむ方向けに一助となるかもしれない、私流の「完璧主義との向き合い方」について書いていきます。
書いてみれば、至極当たり前のことしか書いてないのですが、その当たり前のことにも僕はなかなか気づけませんでしたので、同じように迷い悩む方の参考になればと思います。
ASDの完璧主義
ASDの症状として、強いこだわりから完璧主義思考に陥りやすいということがあります。
物事を0か100かだけで評価したり、少しでもこだわりから外れてしまうと途端に萎えてしまったり。
私は幼少期からPCを使って絵を描いたり音楽を作ったり動画を作ったりと、色んな創作活動に手を出しては、挫折を繰り返しています。
ADHDも併発しているので、単純に飽きっぽいことも原因にありますが、「完璧主義な故に、初学の際の出来の悪い自分の成果に納得ができず、投げ出してしまう」ということもありました。
仕事でも、資料やら書類やらを作る際に、完璧に・自分の納得のいくまで作り込もうとして、何度も締め切りをぶち破っては怒られることがありました、というかそれは現在進行形で怒られが発生しています。
なので、私としてはなるべく「完璧主義はもうやめよう!」と心に決めて過ごすようになったのですが、それで治ったら障害なんて言われないんですよね。なかなかやめられません。
とすると、考えられる解決策はもう一つ。
「完璧主義は否定せず、『何を』完璧にするかを変えていく」ことです。
「手法」を完璧にしよう
今回は、仕事や趣味の成果物に対して、こだわりを持ちすぎる、完璧を追い求めるがあまり、時間をかけすぎてしまったり、理想と成果物のクオリティの乖離に耐えられず挫折してしまうという問題に焦点を当てて考えていきます。
結論から言うと、「クオリティにこだわるのではなく、手法にこだわるようにするべき」ということです。
料理で例えてみましょう。
この間、レストランチェーンの商品を高級料理店のシェフが採点する某番組内にて、チェーン店の商品開発担当者のインタビューが流れていました。
商品開発担当の方が新しいメニューを作るときに何をするか考えてほしいんですが、それはもう考える間もなく「とにかく試作する」ということですよね。
実際にインタビューに答えていた方も、1年間で何十回も試作を重ねたとおっしゃっていました。
ここでまず1つ大事なポイントです。
開発担当の方は、もちろん美味しいものを作るためにあれこれ知恵を出して一生懸命考えたでしょうが、1回目の試作から完成させようなんてハナから思っちゃいないということです。
一度作ってみて思った「なんか微妙だな」「これ美味しくないな」「こうすれば良くなりそうだ」という感想をもとに、また次の試作に取り掛かります。
そういった試行錯誤を繰り返すことで、良い商品が完成していくのです。
そして、開発担当者のインタビューが終わり実際に作った商品が辛口審査員によって合格、不合格のジャッジがつけられていきます。
ミシュランで星を獲得するような超高級店のシェフによるジャッジなので、当然不合格商品には厳しい意見が投げかけられます。
不合格の評価を与えられた商品は、担当者が持ち帰って再び改善の研究が始まります。
そして新しく生まれ変わったその商品が「リベンジ」としてまた後の放送で登場することもあります。
これが大事なポイントその②です。
それは、一旦完成したらそこで終わりではなく、問題点・改善点があればそこから更に修正をしていけるということです。
試行錯誤を繰り返して、完璧に仕上げられた、と思ったとしても、時が経つに連れて、もっとよくできるポイントは必ず見つかります。
逆に言うと、「完璧主義」とは言いますが、そもそも理想通りの「完璧」なものなんてそう存在しないということをはっきりと強く認識することが大事です。
なので、完璧を目指そうという精神こそがそもそも間違いなんだと思います。そしてそんな思考に陥りがちの発達障害っていうのはやっぱり生きづらいですね。
まとめ:DoneこそPerfect
上記2つのポイントを踏まえわかることは、
良いものとは、試行回数を重ねることによって生まれるものであり、その過程でできた成果物のクオリティが悪かったとしても、それを繰り返していけばいずれ作り上げられるということです。
これこそが私達が真にこだわるべき「完璧な手法」なのです。有り体にいえば、PDCAサイクルのようなものですね。
これが、冒頭で書いた「クオリティにこだわらず、手法にこだわるようにする」の根拠です。
Done is better than perfect.(完璧を目指すよりまず終わらせろ)なんて言葉がありますが、私の考えで言うと、DoneこそがPerfectです。
何かいいものを作ろうとして、実際に作ってみたら、なんか違かった。それこそが完璧なのです!
なんか違かったってことは、その違いそうな部分を考え直してやり直せば良くなる。だからなんか違かったらいいんです。
本当に気にしなければいけないのが、2回目以降の試行において、「前回より良くなったか?」のただ1点だけ、それだけです。
私はこの考え方を身に着けた(完全にではありませんが)ことによって、成果へのこだわりを捨てて、理想とのギャップを受け入れて前に進めるようになった気がします。
仕事で資料を作るときなんかでも、「とりあえず完成させて、反省点は次の資料を作る時に活かして、時間をかけて良いものを作れるようになればいい」という考えて取り組めるようになりました。
長くなりましたが、完璧主義・こだわりをそうそう捨てられないのであれば、そのベクトルを変えてみればうまくいくこともありますよ。という話でした。